INTERVIEW
――ダブルス2の「仁王&デュークVSシュナイダー&B・ボルク」について、ご感想をお聞かせください。
いや、デカ過ぎんだろと(笑)。
良くも悪くもそれが率直な感想でした(笑)。
アフレコの時はまだ映像が出来上がっていない状態だったので、どう表現するんだろうなと思っていたんですけど、完成版を観ると「やっぱそうなるよね」と。デカくなったシュナイダーが意外とそのまんま「ずっといるな」っていう感じでした。
物理的にもそういう感じだよね。あと、デュークって日本チームでは大柄なポジションなんですけど、シュナイダーと戦ったせいでその大柄な個性があまり活かされていないような…。全部あのインパクトに押し流されてしまいました。
大柄を超える大柄が出てきちゃったから(笑)。
――今回の仁王については、イリュージョンせずに戦うことが大きかったのではないでしょうか?
仁王的に毎回難しいと感じることがあるんですよ。すでに皆さんに認知されている仁王というキャラクターの個性があるじゃないですか。その上で試合では他の人間にイリュージョンするけど、その人間もみんな個性が強すぎるから、彼らの技を使う仁王っていうのが、本来の仁王と分離した印象にならないかなと思うんです。その中で、私は自分なりに“仁王らしさ”を意識してやっているつもりですけど、結構いつも考え込むところではありますね。
――「本来の仁王」というものが、まだ少し謎めいていますからね。
そういう意味で、今回はひとつの試合の中で、イリュージョンする仁王と自分として戦う仁王が融合しているような感じでした。そこでの“仁王らしさ”の出し方が、結構難しかったです。あとは、観ていただいた皆さんに判断していただくしかないですね。
―― 一方のデュークの戦いぶりについてはいかがでしたか?
僕の本役のジャッカル桑原(立海)もダブルスのプレイヤーで、一歩引いたところから俯瞰して、パートナーを押したり引いたりする役どころは同じだと思うんです。ただ、ジャッカルと(丸井)ブン太は同い年だからフラットな関係ですが、今回のダブルスは先輩と後輩なので、デュークが年上の兄貴分をやっているような感じでした。チーム全体でもデュークはまとめ役ということもあり、自分としてもそういう芝居を心がけていましたね。あと、今回は相手のデカさが目立っていますけど、こちらも巨漢のパワー系なので、「デュークホームラン」などここ一番の気合いはカッコいいなと思いました。そこはもう少年漫画ですから「テニスだけどホームランがあってもいいじゃん」って思ってもらえるようなカッコいい表現を心がけたつもりです。
――初めてペアを組んだ仁王とデュークのコンビネーションは、どんな印象でしたか?
デュークは先輩格ですから、仁王がどういうタイプのプレイヤーなのか、どういう性格なのかを見ていて、それによって背中を押すシーンもあれば、止めるシーンもあったので、うまくさじ加減しながら接しているような感じでしたね。デュークは仁王が気持ちよくプレイできるような、そういう環境を作ろうと思っていたんじゃないでしょうか。
改めて映像を観ると、仁王とデュークって意外とスキンシップをしているんですよ。そこにすごい信頼関係が見てとれる。
距離感を縮めている感じはあるよね。
デュークは仁王を、ちゃんと後輩扱いしてくれるんですよ。だから、仁王が今回イリュージョンを封印して自分の好きなようにやろうとしたのは、デュークが包み込むタイプの先輩だからできたことなのかなと。檜山さんが仰ったように、ジャッカルとデュークって方向性は若干違うけど、どちらもダブルスでは後ろから守ってくれる感じが似ていますよね。ただ、試合中にジャッカルも登場するので、檜山さんの収録が大変でした。
キャスティングした側も、デュークがこんなに出ることになるとは思っていなかったんじゃないですか。だから「以前やっていただいたデュークで…」ってお話をいただいた時、恥ずかしながら覚えていませんでした(笑)。そのくらい当初はモブキャラだと思っていたんですよ。それがオイシイところもいただける、やりがいのある役になりました。これは嬉しい誤算でしたね。
――国際試合が描かれる『U-17 WORLD CUP』シリーズですが、お二人はどんなところに面白さを感じますか?
少年漫画ならではの荒唐無稽な面白さがパワーアップしているところですね。今までのライバルたちと力を合わせて、さらに強大な敵を倒していくっていうのは「ザ・少年漫画」とも言える王道ストーリーですから。うちの部長(幸村)のように「五感を奪う」とか、いろんな必殺技を持っている主人公の強敵たちが全員味方になり、それと競い合える世界の強豪たちも続々と現れ、なかには手塚のように敵側になる者もいる。
最初は地区大会から始まり、全国大会をやって、日本代表になって世界と戦っていく。これ以上になると、次は宇宙人を相手にしないと(笑)。
地球連合と宇宙連合の戦いみたいなね(笑)。
だから、形としては今回の「U-17 WORLD CUP」がひとつの頂点なんでしょうけど、この戦いのあとも各国のライバルたちとの競争はずっと続くんだろうなと思います。彼らの物語はここで終わるわけじゃない。みんなこの先プロになるのかはわかりませんが、プロになれば将来また戦うかもしれない。そういう意味では、世界観の広がりは無限大ですよね。
――最後に『テニプリ』ファンへのメッセージをお願いします。
とりあえず我々は頑張りました(笑)。この次の試合はどんな展開になるのか、皆さんも手に汗握って、ご覧いただければと思います!
原作連載の頃から、おそらく皆さんが「アニメになったらどうなるんだろう?」と楽しみにされていた試合だったと思いますが……こうなりました(笑)。実際に動いたことで、より一層楽しさが増したのではないでしょうか。今後の試合もぜひお楽しみに!
――ダブルス2の「仁王&デュークVSシュナイダー&B・ボルク」について、ご感想をお聞かせください。
勝てると思っていたんですけどね(笑)。アフレコの時も井藤くんと「勝ちに行くぞ!」って言ってたんですよ。結果はわかっていても、演じる上ではやっぱり勝てると思わなきゃいけなくて。そういう気持ちでいたから、最後は「負けたな…」っていうのが率直な感想でした。悔しいです。
改めて観返すと、情報量がとてつもなく多い試合でした。シュナイダーの「巨像(ギガント)」もそうですけど、日本とドイツの双方がハウリングして、競い合った末に最後は日本が勝つ。そこに王道的な流れを感じつつ、シーンごとの印象も強烈に残っていて、見応えのある試合展開だったんじゃないかなと思います。
――特に印象に残ったシーンやセリフなどはありますか?
それはもう言わずもがな「デカ過ぎんだろ…」ですよね。アフレコの時に、これはイメージや幻覚で相手に大きく見せているのか、それとも物理的に大きくなっているのか、スタッフさんに聞いたんですよ。相手に幻覚を見せているのと、物理的に体が大きくなっているのとでは言い回しや方向性が違ってくるので、自分としても芝居を2パターン用意していたんです。そうしたら「物理的に大きくなっていると思って演じてください」って言われて「そっかぁ」と…(笑)。
現場でも、みんなちょっと困惑していましたよね(笑)。
だからもう、そういう特殊能力なんだなと。「ドイツすげぇな」って思いながらやっていました。皆さん、楽しんでいただけましたでしょうか?
ベルティ的には「さあ、次はどいつだぁーっ!」っていうセリフです。原作だと「どいつ」の文字が強調されていて、ベルティが意図せずダジャレを言ってしまったような、ちょっとクスッと笑えるシュールなシーンなんです。でも、アニメだと音声だけの表現になるので、自分の中でどう落とし込もうかなと頭を抱えてしまい、印象に残っています。
あれ、ベルティは真面目に言っているんだよね。
そうなんです。でも、周りの人たちにはギャグに聞こえる方がいいのかなと、そこは探り探りな感じでした。
――ご自身が演じるキャラクターについては、どんな印象をお持ちですか?
シュナイダーは一応プロですけど、シングルスだと大変そうだなと思いました。ベルティがいなかったら、意外と小回りが利かないんじゃないかなって。
確かに、そこは気になりますね。そういう意味では、二人の相性はとてもいいんだと思います。
シュナイダーは後ろで見守っているだけというか、サーブのあとはサポートに徹しているけど、ベルティがちょっと飛びすぎちゃったらお腹で受け止めるからね(笑)。
後ろにシュナイダーがいてくれることへの安心感は、精神的にも物理的にも大きいと思います。ベルティに関しては「テニスAI」と言われているようなキャラクターなので、音響監督さんからも「常に分析しているような言い方で」というディレクションをいただきました。ベルティ自身、よく喋るタイプではないので、少ないセリフの中でどれだけ「テニスAI」っぽさを出せるのかが難しくもあり、個人的に面白いポイントでもありましたね。
――ドイツ代表については、どんなところにチームとしての魅力を感じますか?
まず、監督のレンドールさんがいいですよね。個性豊かな選手たちを、いい感じにまとめている感じがします。あの監督がいなかったら、みんなバラバラな方向を向いてしまいそうだけど、そこを巧くコントロールして、ひとつの目標に向かわせているんじゃないでしょうか。
ドイツ代表は個人の実力も個性もとても強いですけど、世界各国の代表チームの中でも特に統率された集団っていう印象がありますよね。エンディング曲の「GLANZ」でも歌われていますけど、まさに栄光に向かって全員が同じ方向を向いて戦っていく…という姿が、チームとして魅力的だなと思います。
――ちなみに、お二人は今回のシリーズが『テニプリ』初出演となりますが、出演が決まった時のお気持ちは?
やっぱり昔から観ていた作品なので嬉しかったですよ。『テニスの王子様』のTVアニメが始まって、テニスってこういうスポーツなんだと知ったので、あとで初めて本物のテニスを観た時に「全然ボールが曲がらないじゃん」って。実際のテニスってこうなんだと、別の意味で衝撃を受けましたね(笑)。そんな作品の世界に、自分がドイツ代表のシュナイダーとして存在し、言葉を発し、テニスができたというのは、とても光栄なことだなと思いました。だから、なおさら勝ちたかったですね!
僕も『テニスの王子様』が長い歴史のある作品だっていうことは当然知っていたので、それだけの作品に出演させていただくのは緊張感がありましたが、光栄だなという気持ちが強かったです。あと個人的な話ですが、事務所の先輩でもある利根(健太朗)さんは、僕の声優として初めてのイベントでMCをやってくださった方で「いつか共演できたらいいよね」という話をしていたので、今回兄弟役という親密な間柄で共演させていただけたのも御縁だなと思いました。本当にありがたかったです。
――最後に『テニプリ』ファンへのメッセージをお願いします。
ドイツのことを応援してくださる方もいっぱいいると思います。僕たちは負けたんですけど、このあとに続くドイツ代表メンバーは絶対に勝つので応援してください。よろしくお願いします!
ダブルス2をご覧いただきまして、本当にありがとうございます。今回は負けてしまいましたが、試合的には先がまったく予想できない展開になったのではないかなと思います。ドイツの戦いは今後も続いていくので、この準決勝の行方を皆さんの目で確かめていただけたら嬉しいです。