INTERVIEW
遠藤大智さん
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斎賀みつきさん
――シングルス3の「鬼VS Q・P」について、ご感想をお聞かせください。
映像的に一番印象に残っているのは、気合いが入った瞬間のQ・Pの顔ですね。魚眼レンズで撮ったみたいに、眼がグワッと大きくなるじゃないですか。あの瞬間に何かを仕掛け、本気を出してくるので、Q・Pっぽいけどちょっと怖い演出だなと思いました(笑)。
Q・Pは冷静に見えて心の中には熱いものをしっかり持っているし、対する鬼さんはもう熱さが前面に出ている人なので、すごい熱を持った試合だったなという印象がありますね。ただ、その熱さに違いがあるのが、面白い対比になっているなと思いました。
――そうした対象的な鬼とQ・Pの姿には、どんなことを感じましたか?
Q・Pと鬼は“静”と“動”のような違いがハッキリと出ていたので、真逆な印象がありますね。鬼からすると、Q・Pの熱さの根幹にあるバックグラウンドは知る由もないけど、テニスに関してはプレイヤーとしてお互い認め合っていたんじゃないかなと。
最初は単なる対戦相手として鬼さんのことを見ていたQ・Pだけど、鬼さんの頑張りとか、怪我をしても全力でぶつかってくるところに心を動かされるものがあって、この人とは対等に戦いたいと認識が変わってきたのかなと。尊敬できるプレイヤーとして、鬼さんはQ・Pの中に残ったんじゃないかなと思いました。あと、最後の握手で鬼さんが痛めた手を差し出して、それにQ・Pが応えるのもいいシーンですよね。ライバルというより、友情の握手をしたという感じでした。
あの握手に、今回の試合のすべてが詰まっている感じがしましたね。序盤はお互いセンターマークに打ち合ったりと激しい攻防があり、熱さの表現方法も全然違うけど、最後には認め合って握手をしたということに、二人の気持ちが集約されていた気がします。結果としては、鬼が負けちゃいましたけどね。
――中学生メンバーの兄貴分として描かれることも多い鬼ですが、そんな彼の戦いぶりはいかがでしたか?
公式戦での鬼の“本気の試合”というのは初めてだったので、どう戦っていくんだろうなと、僕も個人的に楽しみにしていました。もちろん今までも彼のテニスへの思いは十分に伝わっていたんですけど、今回はそれが前面で描かれていたから、ちょっと感慨深さもありましたね。彼の目指してきたものが、ようやく表現できているような気がしました。あと、鬼は後輩たちに慕われているけど、彼が他人の面倒ばかり見て、自分を犠牲にしていないか心配だったんですよ。それがQ・Pとの試合では、ちゃんと自分自身を表に出していたから少し安心しました。
――一方のQ・Pは、レンドールとの過去が描かれていましたね。
ああいうバックグラウンドは描かれないまま話が進むこともあるので、ありがたいなと思いました。なぜ彼が「Q・P」と呼ばれるようになったのか、そういう過去がわかったことも良かったです。Q・Pはサイボーグっぽく冷徹なイメージがあるけれど、ちゃんと泣けるし、心の中もちゃんと動いていることが表現されていましたよね。表情がなく淡々としているような状況でも、その内面には人間味があふれている。自分としても、そこをちゃんと表現できたらいいなと思いながらやっていました。
――日本とドイツについては、どんなところにチームカラーの違いを感じますか?
日本は“ワンチーム”っていう印象がありますけど、ドイツは個々が硬くて真面目。ちょっとチャラいキャラもいるけど、ボルクを中心にチームが厳格にまとまっているイメージがありますね。少なくとも「みんなで楽しく盛り上げていこうぜ」っていう雰囲気ではないかな。
でも、テニスに没頭できる雰囲気や環境は、ドイツの方がしっかりありそうですよね。日本は雑念が多そうというか(笑)。そういうイメージは、鬼とQ・Pのテニスにも表れている気がします。
日本のベンチは応援でワーッと盛り上がったりするけど、ドイツはみんな冷静に見ているしね。ボルクがずっと冷静に解説しているのに対し、鬼さんは「お父さん頑張れ!」みたいなノリで応援されているし(笑)。そういう家族みたいなイメージが日本はありますよね。
――ちなみに、収録現場はどのような雰囲気でしたか?
鬼とQ・Pはテニスの表現方法がどうしたって違うし、鬼が1球打つ度に「うおーっ!」となっても、Q・Pはスンッとしているじゃないですか。だから、いくら必死に叫んでも試合が劣勢になってしまうと、僕自身も心がちょっと折れそうに…(笑)。鬼を演じる者として、アフレコブースで凹みそうになることもありました。
鬼さんは叫びっぱなしだから、本番前のテストでは「そこまで出さなくていいよ」って言ってたんですよ。でも『テニプリ』の現場では皆さん本当に全力でやっていて、その中でも鬼さんみたいに熱い役の人たちは全身で表現して、すべてをマイクにぶつけているような感じなので、すごいなと思いながら見ていましたね。
試合は斎賀さんと一緒に録れたんですけど、斎賀さんは事務所の大先輩なので、僕も安心してブレずにやれたというか(笑)。本当に感謝しかありませんでした。
いや、私はまだまだ『テニプリ』初心者だから(笑)。遠藤くんは達者な役者さんなので、投げてくれるボールにこちらも素直に返すことができて、本当ありがたかったなと思います。
――では、お気に入りのシーンがあればお聞かせください。
お気に入りのシーンというわけじゃないけど、役者としてすごく悩んだセリフがありました。「スローなブギでいいかい?」っていう(笑)。
昭和だよね?(笑)。
鬼さんっぽいなとは思うんですよ。でも、最初は「どういう気持ちだよ?」っていうところから考え始めて、たった1行のセリフですけど結構悩みましたね。『テニプリ』の様式美みたいなものも感じますし。僕が『テニプリ』に出始めてもう12年くらい経つんですけど、ここまで悩んだのは久々でした。
私は子供時代のQ・Pが、初めて涙を見せたところですね。じつは感情をきちんと出せる子なんだとわかるシーンで印象的でした。あと、いろんなところで話題にもなっている「僕はテニスの神になる」は、すごいセリフだなと改めて思いました。「この人なら、なるんじゃない?」みたいな変な信頼感があるというか。
確かに特別大きなことを言っているような印象を受けないのが不思議ですね。
彼にとっては普通のことのようにサラッと言っていて、実際なりそうだなと思わせちゃう何かを持っているQ・Pらしいセリフでした。彼の名ゼリフだというのはわかっていたので、観ている皆さんに「これこそQ・Pだ」と伝わっていたらいいなと思いましたね。
――最後に『テニプリ』ファンへのメッセージをお願いします。
鬼とQ・Pは初戦でしたが、これからの試合にもまだまだ楽しいシーンがいっぱいあるので、そこを皆さんに観ていただきたいなと思います。日本とドイツのチームカラーの違いも踏まえた上で、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。
今後も熱くなったりワクワクしたりする『テニプリ』ならではの試合が続きます。複雑に絡み合う人間模様も描かれていて、本当に観ていて飽きない、まだまだ先が観たくなる素敵な作品です。ぜひ、このあとのドイツ戦も引き続き応援していただければと思います。