INTERVIEW

置鮎龍太郎さん
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永井幸子さん


――シングルス2の「手塚 VS 幸村」について、ご感想をお聞かせください。

完成映像を観て、表情にハッとする場面がたくさんありました。たとえば、幸村が手塚に「ようやくイップスになってくれたのにな…」って呟くシーンとか、そんな綺麗な顔で言っていたんだと。

綺麗な顔っていうのは僕も思った。二人とも何だかやたらとセクシーなんですよ。原作の許斐先生の絵にも色気があるけど、アニメに落としこむと、どうしてもラインが変わるじゃないですか。もちろんそこにもアニメオリジナルの美しさがあるけど、今回は少し原作の色気に寄っているような感覚を覚えたというか。儚くて美しい目の雰囲気とか、大人びた印象を受けましたね。

確かに大人びているのは感じました。あと、幸村が真田の前を通り過ぎる時にユニフォームで汗を拭っていて、あのシーンの演出がすごく好きでしたね。セクシーっていうのもありますけど、構図がエモーショナルだなと思ったし、作画されている方々のエネルギーを感じました。

――特に印象に残っているセリフなどはありますか?

私は「股下を抜かれる未来」っていう言葉を手塚の声で聴いたのが、すごくツボにハマってしまって…(笑)。

あれは絶対にみんな引っかかっているはずだけど、どう言い換えてもちょっとおかしくなるし、あえてこのままの方が面白いんだと思う。手塚も試合中だからこそ、思ったことがそのままストレートに出たんでしょうね。

あと、手塚がプレーしながら試合展開を全部覚えていたっていうのが、手塚の強さを感じられて印象的でした。

みんなのプレースタイルはすべて頭に入っているっていうことですよね。過去のパターンを思い出して、幸村ならああなる、こうなる…と読んでいたところもあったんでしょう。

――回想シーンでは、手塚がドイツに渡ってからの様子も描かれていましたね。

『テニプリ』に関して時間の流れを言い始めたらキリがないんですけど(笑)、あれはドイツに渡ってからどのくらいの期間だったのかなと。練習生から成り上がっていく過程は一週間くらいかもしれないけど、普通に考えたら少なくとも1か月はかかりそうなので、自分の感覚的にはそのくらいにしておこうと思いました。
今の手塚については、主将という立場ではなくなったというのもあるけど、自分の道を行くと決意したことが大きく影響しているのかなと思いますね。かつての仲間である日本勢の対戦相手になってしまうけど、まずは自分がドイツ勢として戦うことへの意識の方が強いような気がします。

――一方の幸村は、いつになく熱い姿を見せていたかなと。

今までこんなに幸村自身の気持ちを喋ったことがなかったので、そう思っていたのかっていう驚きや気づきがありました。過去のことも振り返っていましたよね。リョーマのことを思い出して、彼を「中1」と呼んでいるところに、幸村の中3としてのプライドを感じたというか。自分は中3なのに、中1に負けて悔しかった…っていう感情に彼の少年らしさを感じて、すごく印象に残っていますね。

大人から見たら、2つ違いなんて大したことないんだけどね。

そうなんですよ。あと「天衣無縫の極み」に対して、コンプレックスという言葉では描かれていないけど、自分はテニスを純粋に楽しめないと悟ってしまった幸村が、そんな自分でもテニスをやっていいと証明するんだっていう熱い願いをひしひしと感じました。

――日本代表とドイツ代表、それぞれのチームにはどんなことを感じましたか?

最初はボルクを筆頭にまとまっているチームだと思っていたけど、結構ヤンチャな人や個性的な人も多くて、これを誰がまとめているのかと思ったら監督だったという(笑)。レンドールさんの静かで温和な感じが、チームの空気を中和させているんだと思うと、すごくしっくりきました。(小林)親弘くんのキャスティングも納得だったし、とにかくレンドールさんが肝ですね。

レンドールさん、素敵ですよね。

大人ポジションでああいうタイプの監督が久しく出ていなかったから、余計にそう思うのかも。レンドールさんはQ・Pとのエピソードでも深掘りされているから、感情移入しやすいキャラですよね。個性的な選手たちを放任しているようで、密やかに支えていそうな雰囲気がいいなと思いました。日本の方は、完全に平等院がリーダーになっている感じだよね。

お頭が一番上にいるというのは、すごい説得力がありますからね。ビジュアルも迫力があるし、命を賭ける覚悟で戦っている感じが、まだまだ中学生たちは敵わないなと思います。でもだからこそ、今まで主将というポジションだった幸村は、今回の試合で自分自身により集中できたのかもしれません。

――では、国際試合が描かれる『U-17 WORLD CUP』シリーズならではの面白さというのはありますか?

アフレコ現場について言えば、新キャラにはベテランの方々も結構キャスティングされているんですけど、ここで「俺の力を見せてやるぜ」と力むわけでもなく、スタジオに来てサラッとやっていく感じがすごく好きです。もちろんキャラのポジション的に熱くならざるを得ない方々もいて、そこでグッと熱を入れる加減も絶妙だし、自分の仕事をしっかりやりきるカッコよさを感じるというか。花江(夏樹)くんとか興津(和幸)くんもそうでしたけど、各国キャストの皆さんの仕事ぶりが素敵だなという印象がありますね。

日本代表で言うと、以前は敵同士だった人たちが仲間になるという少年漫画の王道感がいいなと思いました。乾が幸村に手塚のデータをくれたり、跡部がアドバイスをしてくれたり。

まさに「昨日の敵は今日の友」だよね。乾のデータはノートだったから、かなりアナログなんだけど。

あと、不二はずっと手塚を気にしていましたよね。何度も「手塚…」って(笑)。とにかく今回の日本代表メンバーは、みんな手塚を意識していて、「手塚を倒すぞ」と全員で挑んでいくような高揚感がありました。

光栄です(笑)。

――それを踏まえて、決着シーンの手塚と幸村を観ると興味深いですね。

それもあるけど、僕はいまだに試合を振り返ると「手塚と幸村の試合って、結局どっちが勝ったんだっけ?」って思っちゃうんですよ。

それだけ「勝ち負けがすべてじゃない試合」という印象があるってことですよね。手塚が強いからこそ、自分の全力をぶつけることができたっていうのは、幸村にとっても救いになっただろうなと思います。負けてはしまったけれど、清々しい気持ちが残りました。

本当にそんな感じで、とにかく終わってよかった、この試合をすることができてよかったっていう印象を受けましたね。

――最後に『テニプリ』ファンへのメッセージをお願いします。

それぞれに熱い戦いが繰り広げられ、死を覚悟して臨むような試合ばかりで見どころいっぱいだと思います。ぜひ、このあとも楽しんでください。

幸村は全力を出しきって戦いましたが、このあとは赤也にも新しい展開が待っていますし、ドラマのある試合ばかりです。楽しみにしていてください。